Interview 012

Ayumu Ueda

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小さなハードルをいくつも超えた先にみえた、
刺しゅうの可能性。

Mar 12, 2019

刺しゅうの魅力や惹かれた理由を聞く連載インタビュー。第十二回目は、お笑い芸人として活動しながら独学で刺しゅうを学び、“刺しゅう芸人”との異名も持つ「グッドウォーキン」の上田歩武さんに登場いただきました。上田さんがデザインしてくれた刺しゅう模様も、このページの最後に紹介していますので、是非あわせてチェックしてみて下さい。


――上田さんは“スニーカー芸人”としても知られていますよね。刺しゅうを始める前にも創作活動はされていたのでしょうか。

2015年に芸人のネゴシックスさんと、裏原宿に思いを馳せていた2人というテーマでトークライブを始めました。第2回目の公演場所を探していたときに、ネゴシックスさんが原宿にある「トーキョー カルチャート by ビームス」の方とお知り合いだったので相談しに行ったら、イベントをさせてもらえることになったんです。ただ、僕らとしては2時間だけのトークライブをさせてもらうつもりが、2週間やってほしいと言われまして。ネゴシックスさんはイラストレーターという一面もありますが、当時僕は何もしていませんでした。ちょうどその時に、プラ板でピアスやブローチをつくっている作家さんの作品を見て、これだったら僕もできるかもしれないと思いやってみたんです。スニーカーが好きだから、展開図を自分でつくって箱を組み立てて、プラ板でスニーカーのピアスとピンバッチを制作し、セットで販売しました。今振り返ると、これが僕のものづくりの原点ですね。

――そこから刺しゅうを始めることになったきっかけを教えてください。

プラ板での制作は楽しかったのですが、作業量と販売価格のバランスが難しいなと感じていて。当時お付き合いしていた方が趣味で刺しゅうをやっていたんです。今度教えて、と伝えていたものの実現されることがないままお別れしてしまいました。ちょうど新しい年を迎えて、心機一転したいと考え刺しゅうをやってみようと思い立ちました。すぐに100円ショップへ行って刺しゅうセットを購入しました。最初は縫うものがなくて、自分のジージャン(写真上から3番目)に縫ったんですよ。

――文字を縫うことから始めたんですね。どのようにして今のような作風になっていったのでしょうか。

やり方がわからないので、YouTubeで“刺しゅう”と検索して動画を見ながら学びました。キャップに縫おうと考えた時に、ワンポイントで何かをつくりたいと思って。ストリートカルチャーや音楽から影響を受けてきたので、マイケル・ジョーダンやカート・コバーンを縫ってみました。人物にしようと考えたのは、なかなかそういうものが売っていなかったからです。モチーフは決めて制作していますが、基本的に誰と断言はしません。違うものに見えたらそれでいいですし、ひょっとしたらこれじゃない?という面白さがあるのがいいのかなと思っています。

――人物やキャラクター、動物、食べ物などモチーフの幅も広いですよね。独特の色づかいにもセンスが光っています。

ありがとうございます。ちょうど中高生だった90年代前半に、裏原宿を中心としたストリートカルチャーの盛り上がりがありました。僕は滋賀県の田舎で育ったので、雑誌からムーブメントを知りどんどんハマっていきましたね。その頃からずっとファッションが好きという軸があって、自分では予想もしていなかったのですが今のスタイルに繋がっているのだと思います。

――毎日作品をインスタグラムへ投稿していますよね。今後チャレンジしていきたいことはありますか。

縫うものを変えて刺しゅうの可能性を広げたいと思っています。キャンバス地のスニーカーにも縫ったことがありますが、欲を言えばスニーカーになる前の素材を頂いて場所を選ばすに刺しゅうしてみたいです。これは最近制作しているCDジャケットシリーズですが(写真一番下)、偶然このサイズのものを量販店で見つけて思いつきでやってみました。刺しゅうは根気がいるので、大きい作品をつくろうとすると完成まで遠く感じてしまいます。小さなものをコツコツとつくり続けていくことが、ハードルを何個も飛び越えたら意外と遠くまで来ていた、ということに繋がります。ゴールがみえるから続けられますし、作品を通して喜んでくださる方がいることがうれしいです。


Ayumu Ueda

滋賀県出身。大阪NSCの23期生。大阪での活動を経て30歳で上京し、2015年にお笑いコンビ「グッドウォーキン」を結成。20年以上のスニーカー・ファンで“スニーカー芸人”としても有名。“刺しゅう芸人”としても注目され、様々なセレクトショップなどで自身が刺しゅうしたグッズやアパレルの販売を中心としたPOP-UP STOREの展開や、オーダー会も実施。ファッション好きからの支持も厚い。4月からセレクトショップの「エディフィス」でフランスをテーマに制作したグッズの販売イベントを予定。

https://www.instagram.com/uedaayumu/


Creator’s Motif

Designed by Ayumu Ueda

この上田歩武さんがデザインした刺しゅうデータは、刺しゅうダウンロードサービス「ハートステッチズ」からダウンロード可能です。※会員登録後、有料での販売となります。