Interview 008

tupera tupera

tupera tupera

自由な創作、うれしさを引き起こす
刺しゅうの役目について。

May 16, 2018

刺しゅうの魅力や惹かれた理由などを聞く連載インタビュー。第八回目は、絵本というフィールドを主戦場に様々な分野で活躍する、亀山達矢さん、中川敦子さんご夫妻から成るクリエイターユニット、ツペラツペラさん。おふたりがデザインしてくれた刺しゅう模様も、ページの最後に紹介していますので、あわせてチェックしてみて下さい。


――まず、ツペラツペラ結成当初の話をお聞かせ下さい。

出会ったのは予備校生のころなので、つきあいはかなり長いですね。大学はそれぞれ別のところに進学して、私は多摩美術大学のテキスタイル、亀山は武蔵野美術大学の版画専攻でした。卒業したあとも違う道に行っていたのですが、あるとき、私が代官山の旧山手通り沿いにあるウィンドウに布小物などの雑貨を展示販売する機会に恵まれて。当時自分がつくっていたものに亀山の絵を縫いつけてみたらおもしろいかも、と思って、声をかけたのがはじまりです。(中川さん)

今、中川がいった通り、僕は版画を専攻していたんですが、やってみて版画は自分にもあわないと感じていたんですよね(笑)。布雑貨は僕にとって新鮮は分野で、自分がつくった作品を気軽に相手に届けることができるよさがあると思って、それで一緒にやることにしました。その際に販売したひとつが、この(写真一番上)クッションです。(亀山さん)

――“おもしろいかも”と思った、具体的な理由はありますか?

私は大雑把でめんどうくさがりやなので、裁縫に苦手意識があったんですが、『カオハガン・キルト物語―南の島からの贈り物』という本を読んで、それまではきちんと計算して縫わなければキルトってできないものだと思っていたんですが、そこに掲載されていた作品は、布を切った形のまま、どんどん繋げていってひとつにする手法を使っていて、その自由で大らかな作品のつくり方に惹かれたんです。展示販売を何度かするうちに注文も増えてきて忙しくなった時期は、亀山もミシンを毎日踏んでいました。(中川さん)

はじめはミシンをやることにちょっと疑問を感じていましたけど(笑)、慣れてくると楽しくなっていきましたね。ミシンを走らせる作業って車の運転に感覚が似ていると、何となく思うんです。ミシンは女性がやるものっていうイメージがあるかもしれないけど、そういう感覚がわかってくると、男性も楽しめるようになってくると思うんですよね。僕の友人に毎朝ひとつカーテンに刺しゅうをしてから出勤していた人もいますよ。(亀山さん)

たぶん、男性は自分からは買わないだろうから、プレゼントしてもいいかもしれないですね。洋裁や刺しゅうにハマる、きっかけがもしかしたら生まれるかも。(中川さん)

――小物、雑貨から絵本などに主な表現媒体がシフトしていって、それと同時に素材が布から今は紙を使ったコラージュに代わっていったんですよね?

そうです。それまではずっと布を扱っていたので、移行したときに少し抵抗はあったんですが、あるときに振り返ってみたら、どんな素材、どんな表現を使っても自分たちらしい作品になっているなと感じて、それからはあまり固執することはなくなりましたね。制作に関しても、明確な役割分担がなくて、紙を切って、貼って、文章をつけて、という工程それぞれ、やりたい方がやるという感じで自由につくっているんです。(中川さん)

ツペラツペラという名前は自分たちでつくった造語で、あまり意味はないけれど一度聞いたら忘れないような、新鮮な響きが気に入ってつけたんです。でも、あとあと調べてみたら、スウェーデン語では一語(=tupera)で「髪を逆立てる」、山形弁につっぺらという言葉があって、それは「無表情」、万葉集の一句に出てくるつばらつばらは「しみじみと」という、普段生活しているところとは違う土地、時代に使われている似た言葉に、僕たちの作風とどこか通じるような意味が含まれていたんです。その多様さと同じように、日本とか海外とか時代とか関係なく、自由にやっていきたいという気持ちはありますね。(亀山さん)

――おふたりがもし、刺しゅうミシンをもっていたら、これまでとは全く違う使い方をして頂けそうな気がします。

元ある模様をあえて重ねて、新しい模様をいちからつくったりもできそうですよね。(中川さん)

――確かに。はじめからインストールされている丸とか四角とかを組み合わせて遊んでみるのもおもしろいかもしれません。ちなみに、どんなところに取り入れてみたいですか?

5歳の息子がものすごく活発で、服がすぐにやぶれてしまうんですよ。靴下とか膝こぞうの部分とか。まず、そういうところの補整に重宝しそう。

このクッション(写真一番下)は、友人から引っ越し祝いで頂いたんですが、刺しゅう男子のお子さん(クッションの上に添えられている刺しゅう作品は、その子が縫いあげたもの)が描いた絵を元に、家族みんなで刺しゅうしてくれたものなんです。刺しゅうって補整にもなるけれど、それよりも既存のものにプラスアルファが加わるところが素敵な点だと思うんです。いいものが、さらによくなる。僕たちがデザインした模様も、そんなうれしさを引き起こす役目を果たせるといいですね。(亀山さん)


tupera tupera

亀山達矢さん(写真右)と中川敦子さん(左)によるクリエイターユニット。2002年より活動を開始し、絵本やイラストレーションを中心に、舞台美術、アニメーション、工作といった多岐に渡る分野で活動をしている。『かおノート』『しろくまのパンツ』など多数の絵本を出版し、様々な国で翻訳されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。京都造形芸術大学 こども芸術学科 客員教授。展覧会「ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展」が三重県立美術館で2018年6月10日(日)まで、うらわ美術館で2018年7月7日(土)~2018年8月31日(金)まで行われている。

http://www.tupera-tupera.com


Creator’s Motif

Designed by tupera tupera

「tupera tuperaらしさがありながら、大人も子供もつかえそうなモチーフにしてみました」

このtupera tuperaさんがデザインした刺しゅうデータは、刺しゅうダウンロードサービス「ハートステッチズ」からダウンロード可能です。※会員登録後、有料での販売となります。