Interview 003

Koichiro Takagi

Koichiro Takagi

やりたい、楽しいと思うと、
道は開ける。

January 10, 2018

刺しゅうの魅力や惹かれた理由などを聞く連載インタビュー。第三回目は、主に擬人化された動物をモチーフに、可愛らしく、神秘的でもある個性的な世界観をもつ絵画を描く、画家の高木耕一郎さん。あまりお目にかかれない、ユニークなアトリエ風景も必見です。高木さんがデザインしてくれた刺しゅう模様を、このページの最後に紹介していますので、是非あわせてチェックしてみて下さい。


―― 主に画家として広く知られている高木さんですが、まず、どんなきっかけで絵を描くようになったのかをお教え下さい。

それが明確な動機はないんですよ。母が美術大学出身で、周りに絵を描いている友人もたくさんいたので、自然と自分も描くようになり、流れで作家を志すようになったというか(笑)。

アメリカ・サンフランシスコのアートスクールに通っていたときは実は版画が専攻で、シルクスクリーンを学んでいました。そこから、ニューヨークに住んでいた友人の影響でステンシルもやるようになり、あるアーティストのアシスタントをしていた頃に仕事として絵を描くようになったりと……。そこまで手法にもこだわってなくて、やりたいことをやり続けているうちに今に至ったんです。

―― 近年は刺しゅうを活かした作品もたくさんつくられていますね。

ずいぶん昔、刺しゅうが施されたワッペンをもらったことがあったんです。それを見たとき、案外、自分でもできるかもと思って試しにやってみたのがはじめのきっかけです。

刺しゅうを作品に取り入れるようになったのが大体8年前なんですけど、きちんと勉強をしたわけではない完全な自己流で、当初は使う糸すら間違っていました(笑)。でも、他にやっている人がいなかったし、難解なテクニックは必要ないし、とりあえず縫ってしまえばある程度の形になるので、自分にしっくり来たんだと思います。

―― モチーフはやはり動物が多いですか?

人を描くと、特定していないのに「誰なの?」とよく聞かれるんです。それが何となく嫌で(笑)。

でも、動物だと匿名性が出るし、みんなから好まれるし、描き続ければアーティストの個性にもなっていきますからね。

―― 作品を拝見すると、デフォルメ化されているとはいえ、体毛の動きまで縫われていて、しかも糸の密度も濃く、かなり作業が大変なように思われるのですが……。

確かに、下地としてベタをひたすら縫っているときは途中で嫌になってしまうこともあるんですけど、色が入ってきて、少しずつ形が見えてきたとき、次第に興奮してくるんですよね。乗り越えた喜びみたいなものが感じられるからこそ、続けられているのかもしれません。

あと、はじめた頃は正しいやり方がわからないので、絵具でただ塗りつぶすように、糸の方向も考えずに縫っていたんですが、やっていくうちに同じ方向に糸が綺麗に並ぶと、糸面が光を反射してかすかに輝くことに気づいて。その様を見たいっていうのも、モチベーションに繋がっています。

―― 上手くやろうと思うことより、まずは一山越えることを楽しもう、と。

そうですね。でも、僕は作家として活動をしているから、一日中その作業ができるけど、一般の方々はなかなか難しいですよね。

刺しゅうのワークショップをやると、ちょっとしたものでも6時間くらいはかかるし。終わらない人はもち帰ったりするんですけど、後々話を聞くと「まだできていません……」と嘆く人も多くいて。だからこそ、刺しゅうミシンは取っ掛かりとしていいと思うんです。模様が施される工程が見えるから、色々と試してみると勉強になるはずだし。

まず刺しゅう自体を楽しんでみて、少しずつそこに自己流でもいいから、手刺しゅうでアレンジをしてみたりすると、道が開けていくんじゃないかな。


Koichiro Takagi

東京都出身の画家。アメリカのアートスクールで様々な表現手法を学んだのち、しばらくの間、ニューヨークを拠点に活動。現在は東京在住。主に擬人化された動物をモチーフにした作品を製作しており、その可愛らしく神秘的でもあるファンタジックな世界観に、世代を問わない多くの人が魅了されている。

http://www.koichirotakagi.com


Creator’s Motif

Designed by Koichiro Takagi

男性/男の子に向けた、
擬人化された恐竜

「これまでの刺しゅう模様は、女性的な可愛らしいものが特に多いイメージがありました。なので、男性/男の子でも使ってみたいと思ってもらえるものがつくれたらと、恐竜をモチーフにデザインしました。ワッペンにしたり、シャツの胸ポケットから顔だけ出してあげたり。工夫次第で色々な楽しみ方ができると思います」

この写真の洋服に施されている高木耕一郎さんがデザインした刺しゅう模様は、刺しゅうダウンロードサービス「ハートステッチズ」からダウンロード可能です。※会員登録後、有料での販売となります。